新しい「国のかたち」か スコットランドの選択

http://www.nikkei.com/article/DGKDZO77642030X20C14A9TY7000/

ヨーロッパで国の姿が大きく変わるきっかけになったのは、100年前、1914年に始まった第1次世界大戦である。大戦の結果、西は現在のイタリアから東はウクライナやルーマニアまで広がる版図と多民族を持っていたハプスブルク帝国が崩壊し、民族自決の大義のもと、いくつもの国が生まれた。チェコスロバキア、ハンガリー、ユーゴスラビアなどである。

同じ地球に国の数がいかに増えたか。50年前の東京五輪に参加した国・地域は93だったのに、2年前のロンドン五輪では2倍以上の204になったことだけをとっても明らかである。

どんなに単位を小さくしていっても純粋な単一民族国家はつくれない。いま、地球の細分化に抗するように欧州連合(EU)が28カ国を束ねるのを見、ウクライナがロシアに領土を奪われるのを見、さらにはイスラム国を名乗る組織がイラクやシリアという国の中で暴れ回るのを見るとき、「国」という印籠にどれほど威力があるのか、考え直さざるをえない。

自分の範囲を規定することで安心を得る。人間の本質に関わる問題ですね。


国のかたち 模索続く

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今後は課税や福祉などスコットランドに公約した権限移譲の交渉が本格化する。「英国の統治のあり方を変えていく」。キャメロン首相はウェールズやイングランド、北アイルランドのほかの3つの地域への権限移譲を進める方針も表明した。

英国は冷戦後のグローバル経済への対応に成功し、経済の開放や自由化のお手本とされた。だが、来年5月の総選挙を視野に二大政党は一段と内向き姿勢を強める。

エディンバラ大学のジェームス・ミッチェル教授はスコットランド独立問題の背景に「ブリティッシュネス(英国らしさ)」の揺らぎがあると指摘する。「大英帝国時代や米英で世界の秩序を守った冷戦後のように、英国がしっかりとした価値観や経済政策を打ち出せていないことにスコットランドの人たちは無意識に反応した」と話す。

人間は祖国に祖国らしさを求めるんでしょうね。居場所が欲しいとか所属意識とか欲求の部分まで含めて考える必要があるように思います。


統合深化で「小国」覚醒 スコットランド独立否決 自治権拡大、実利取る

http://www.nikkei.com/article/DGKDZO77331730Q4A920C1FF2000/

スコットランドは税財政、医療など外交や安全保障以外の政策決定権の多くを手中にする。長年、独立運動を指揮してきたスコットランド行政府のサモンド首相(19日に辞任表明)は投票に負け、自治権拡大の闘いに勝利した。

EU市民という仮想概念がある。加盟28カ国の5億人を指す。スコットランドの人びとは意識していたかどうかはともかく、EUと距離を置く英国を離れ、EU市民として生きる道を模索した。それは、英政治の中枢ウエストミンスター(英議事堂の所在地)に財政資金を分けてもらうくびきからの解放を意味した。

独立を求める「国」候補はカタルーニャ、バスク(スペイン)やフランドル(ベルギー)にとどまらない。イタリアのシチリアもローマが差配する所得分配に不満が強い。EUという衣にくるまれていれば「自国」政府に頭を下げなくともよい。市場統合の深まりは欧州史に埋没した小国を覚醒させた。

色々と分からないんですが、負けても政策決定権を得たということで、スコットランドとしてはメリットが大きかったようです。今後、世界中の独立機運に発展しそうですね。


スコットランド 賛否なお拮抗 独立か残留か、あす住民投票 英首相、引き留めに必死

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キャメロン英首相は15日、スコットランド北東部の石油都市アバディーンで投票前最後の演説に立ち、有権者に英国への残留を訴えた。首相は独立すれば通貨も年金制度も英国とは別になると強調。「独立を選べば永遠に英国には戻れない。連合王国を救うために投票してほしい」と声を詰まらせる場面もあった。

スコットランドの独立が現実になれば、人口の8%強、国土の3割強が英国から離脱する。英国の政治・経済に重大な影響が及ぶだけでなく、世界各地の独立運動に余波が広がるとみられる。

今回の住民投票は2012年に、キャメロン首相とスコットランド行政府のサモンド首相が合法的に実施することで合意した。英政府は投票結果を尊重する方針だ。サモンド首相は「生涯に一度の機会」と呼びかけている。

見過ごしていましたが歴史的事件ですね。独立機運の背景には、根深いイングランドへの対抗意識があり、スコットランド出身のブレア首相就任で議会が開設されたことが下地になって、経済的には北海油田の存在があるようです。