未来との摩擦 健康経営、企業は孤軍 医療費圧縮、国こそ必要

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO22067800Q7A011C1EA2000/

コモンズ投信の伊井社長は「30年先までの投資を見据えると、従業員を大切にする企業ほど外部環境の変化に順応し、成長に結び付きやすい」と話す。経済産業省と東京証券取引所が17年、健康経営に意欲的として公表したのは花王や伊藤忠のほかデンソー、東京ガス、日本航空など24社。岡三証券によると24社の株価は過去10年で年率換算にして8.7%上昇。

ただ、いくら企業が社員や家族の病気予防につなげようとしても、国全体の医療費から見れば焼け石に水だ。公的な医療保険で賄う約42兆円の医療費のうち、大企業の社員、家族らが加入する企業健保の医療費は5兆円に満たない。これに対し75歳以上の後期高齢者分は約15兆円に達する。

政府は各保険の負担割合を保険加入者数ではなく、加入者の平均収入に応じて決める仕組みを広げてきた。健康経営で稼ぐ力が高まった企業ほど負担が増すジレンマも潜む。企業再生を手掛ける経営共創基盤の冨山CEOは「大企業は強いから負担させよう、弱い中小企業は守ろうという政策は、かえって企業の生産性を落とす」と話す。

健康経営はコストではなく投資という考え方が、変化への対応が早い企業では当たり前になっているようです。


がん「緩和ケア」全国に 拠点病院以外に研修拡充 厚労省、終末医療の充実急ぐ

https://www.nikkei.com/article/DGKKASDG08H4B_W7A920C1CR8000/

厚労省によると、拠点病院は全国に約400カ所ある。しかしがん患者の4割は拠点病院以外の施設に入院している。そこで終末期を迎える患者も多い。

厚労省は研修会の指針を改定し、拠点病院以外の緩和ケア病棟などに勤務するすべての医師が受講することが望ましいと明記する。また、自宅で療養するがん患者に適切な緩和ケアが提供されるよう在宅療養支援診療所の医師にも受講を呼びかける。

研修の内容も充実させる。終末期の患者が延命治療を望むのか望まないのか、事前に患者や家族と話し合う際の対応方法を学ぶ。遺族に寄り添い支えるグリーフケアなどについても身につけてもらう。

拠点病院の医師とそれ以外の医師の知識差も問題なんでしょうね。必要な改定だと思います。


終末期患者の意思、尊重を 厚労省がモデル事業 自宅で最期迎える・病院で延命治療…自治体や病院、情報共有

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO20271650S7A820C1CR8000/

厚労省によると、2015年に自宅で死亡した人の割合は12.7%だったのに対し病院は74.6%に上る。同省は超高齢化社会に対応して在宅医療を推進。自宅でみとる体制の整備を進めているが、患者本人の意思に必ずしも沿わない医療が行われている実態があるとみている。

そこで、患者の意思についての情報共有を進めるモデル事業を全国で実施する。在宅医や救急医、市町村職員などが参加。延命措置の希望の有無などを記入する用紙を配っている八王子市などの事例を紹介し、意思共有の仕組みを話し合ってもらう。

同省は終末期の患者の相談に、適切に対応できる医師や看護師の養成も進めている。患者が医師らと話し合い、納得した上で本人が決めることが重要なためだ。16年度には751人の医師らが、倫理的な問題や患者の意思決定をどう支えるかを学ぶ研修会を受講した。

まだまだ病院で最期を迎える方が多いということが分かりました。国としても在宅医療を推進する姿勢。


膨らむ医療費に歯止め 薬価下げ・高額薬の使用減で 昨年度、14年ぶり減少

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO19810300Z00C17A8EA2000/

16年度にブレーキがかかった理由の一つが薬代の引き下げで、薬価全体でみた下げ幅は1.2%だった。特に効いたのがC型肝炎の薬だ。もっともこれらの薬は完治が見込まれるため長い年月にわたって投与の必要がなく、16年度になると前年度の反動で投薬量が減った。さらに16年度は国が導入した、年間販売額が極めて大きい品目の価格を引き下げる仕組みの対象となり昨年4月から薬価が約3割下がった。

他の政策効果を指摘する声もある。16年4月から「かかりつけ薬剤師制度」が導入された。複数の病院から似た薬を処方されていた場合は一部の薬の服用について中止するよう指導しており、その結果として薬剤費が抑えられた可能性がある。

医療費の約6割は65歳以上の高齢者が使っており、75歳以上だけでみると全体の4割弱だ。16年度は医療費全体が減少に転じたのに75歳以上の高齢者の医療費は2月時点で1.3%増えた。75歳以上の医療費の窓口負担は現役時代並みの所得がある人を除き1割にとどまり、医療費が増えた分の多くはサラリーマンら現役世代へのしわ寄せが強まっている。

減少しても75歳以上の医療費は増えているということで、現役世代へのしわ寄せという点では課題多いです。


遠隔診療 普及へ動く 福岡で試行、政府後押し 報酬の上げ幅 焦点

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO18081120U7A620C1EA5000/

福岡市東区のまえだクリニックが使うシステムは福岡市と福岡市医師会、医療法人社団鉄祐会が試行を始めた。現在、11の医療機関が試行に参加し、患者が入力する情報や対象となる疾患について鉄祐会グループと精査している。同グループは7月にもオンライン診療の仕組みを整える予定。

政府は新たな医療ビジネスを生む成長戦略の一環でオンライン診療を後押しする構えだ。患者にとって通院の手間が省ければ、治療を継続しやすくなる面もある。

普及に向けた課題のひとつが、診療報酬の格差だ。今の報酬体系は患者が来院する対面での診療を重んじている。オンライン診療は電話でのやり取りの一種とみなされ、多くの場合は対面の半額以下。政府が来春の報酬改定で、オンライン診療の効果をどの程度評価するかによって普及の仕方も変わってくる。

2018年度診療報酬改定が普及のポイントという点について、首相はしっかり評価すると名言しています。


処方箋ない薬 販売苦慮 保健所「違法ではないけど…」 専門家「不適切利用も」

http://www.nikkei.com/article/DGKKASDG25H6O_Q7A530C1CC1000/

厚労省によると、医薬品医療機器等法(旧薬事法)は医療用医薬品のうち「処方箋医薬品」以外を処方箋なしで薬剤師が対面販売することを禁止しておらず、罰則もない。ただ「医師の診断に基づいて使用されるべきで、処方箋による販売が原則」(同省医薬・生活衛生局総務課)と強調する。

やむを得ず販売を行わざるを得ない場合は、患者に医療機関への受診を勧めた上で必要最小限の数量に限定するよう求めている。「やむを得ない」とは災害などで受診が困難な状況を想定。同課の担当者は「不適切な薬の使用を助長する実態があれば問題」としつつも、「保健所が適切に薬局を指導してほしい」と対応は自治体に委ねる。

一方、この薬局を所管する保健所は「薬局側には処方箋に基づく販売を再三指導している」としつつも、「強制的に販売を中止させる権限はなく、指導を続けるしかない」と戸惑い気味。「診察をためらう人々や外国人などが利用している」と推測する。

大きく医療用と一般用に分かれており、医療用の中で処方箋医薬品以外の扱いについて。グレーな部分です。


がん死亡、私の街は…

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO16665010Q7A520C1M10400/

散布図で比較すると、4つのタイプが浮かび上がる。右上は「医療費が高く、死亡率も高い」タイプ。医療機関が多い大都市が目立つ。病気になる人が多く、医療費がかさんでいる可能性もあるが、投じた医療費が死亡率の改善に寄与していないのかもしれない。

右下は「医療費は低く、死亡率が高い」タイプ。東北など医療過疎とされる地域が多い。医療機関が少なく、必要な医療を受けられていない可能性がある。左上は「医療費は高いが、死亡率が低い」タイプ。大都市が多いが、治療が死亡率の低減に結びついているとも推測できる。左下は「医療費が低く、死亡率も低い」という理想的なタイプ。健康長寿とされる長野県などの自治体が多い。

自分の住んでいる都市は右下でした。医療過疎地域ではないでしょうけど。しかし日経のビジュアルデータすごいですね。


歯科衛生士不足 介護に影 訪問診療まで手回らず

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO11864010Z10C17A1TZD000/

歯科医院の間で衛生士の奪い合いが起きていることが大きな要因だ。歯科医院の数は全国で約7万カ所とコンビニより多く、競合が激化している。歯科衛生士の数自体も増えてはいるが、患者数が多く厚待遇を提示できる歯科医院に人気が集まる傾向にある。その結果、5人以上抱える医院がある一方、ゼロか1人だけのところも出てくるなど、衛生士の偏在が進んでいる。

衛生士を取り巻く労働環境も厳しい。大都市圏では平日20時以降まで、さらには週末も開く医院が目立つ。厚生労働省の調査では、常勤の女性衛生士の残業を除く労働時間は看護師より月9時間長い。そのため出産・育児を機に離職する人が多く、25万人以上いる有資格者のうち、実際に働く人は5割に満たない。

衛生士の不足感が高まることで特に影響が懸念されるのが介護が必要な高齢者だ。高齢になると飲み込む力が低下し、細菌が唾液と共に誤って肺に流れ込み肺炎を起こすことが多い。これを防ぐには口腔ケアが効果的だ。

歯科衛生士は数が増えているものの、労働環境が厳しく有資格者の5割しか働いていないとのこと。


赤ちゃんポスト設置した医師 蓮田太二さん 血縁超える愛、幼い命を守る

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO11260540R00C17A1CC1000/

「こうのとりのゆりかご」。発案した院長の蓮田さん(80)は2007年の設置以前から「産み捨てを助長する」などと批判され続けているが、信念が揺らいだことはない。ドイツで赤ちゃんポストを視察。帰国後、乳児が遺棄され、死亡するニュースが相次いだ。おなかに宿った命を大切にし、時に命懸けの出産の現場に立ち会ってきた医師として、見過ごせなかった。

子供が出自を知る権利を阻害するという批判に対しても、蓮田さんは「出自より命が大切」と言い切る。生きて愛情を注がれれば、幸せに育つことができる。「自分の子供が一番かわいい」と目を細める養父母や「両親に本当に感謝している」と話す子供と接してきて、「血のつながりを超える愛情」があることを教えられてきた。

「傍観者ではいられない」という生き方は、父から受け継いだのかもしれない。父、善明さんはマレー半島で敗戦を迎えた。「もはや天皇制はない」と訓示した上官を射殺し、自決した。国や天皇のためにと戦い、多くの人命が失われた。その死を無駄死にとするような言葉に我慢できなかったのだろう。泰然自若とした蓮田さんの表情が唯一、崩れたのは父の最期に触れた時だった。

お父様から受け継いだ生き方が、蓮田さんの生き方に受け継がれていることもまた感動的です。


「医療爆買い」切実な事情 日中とも救世主求め

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO10429090Y6A201C1TZD000/

医療を目的とする訪日外国人は急増している。医療滞在ビザの発給件数は4年前の13倍になった。ビザがなくても健診や治療は受けられるため実際はもっと多い。ほとんどが中国人で、わらをもつかむ思いで来日する人もいれば、自国で健康状態を知られぬよう日本に来る要人もいる。治療費は500万~600万円程度かかることが多いという。富裕層が多いが、最近は中間層にも広がっている。

中国人が増えている背景には2つの側面がある。1つは経済成長に医療環境の向上が追いついていない中国の事情だ。もう1つは日本側の変化だ。「医療ツーリズム」を大々的に打ち出したのは09年。しかし「医療の産業化」が前面に出たことで医師会が反発し下火に。「それでもこの2、3年で流れが変わってきた」。メディカル・エクセレンス・ジャパンの北野理事は変化を感じている。地域を挙げた外国人患者の誘致は、愛知県など全国で芽が出始めている。

先んじる病院では華麗な消費が広がる。亀田総合病院には昨年、健康診断を受けるため約200人の中国人が訪れた。VIP向けの待合室には、中国語で書かれた高島屋のカタログが置いてある。プライベートジェットで来日し、空き時間に1億元(約16億円)のマンションを買った人もいたという。

爆買いが医療の分野で起こっていたとは。しかもショッピングレベルでない爆買い。先んじる病院では華麗な消費が広がっているとのこと。