デザイン思考と経営戦略 イノベーションは運でなく戦略 慶応義塾大学教授 奥出直人

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO20192930R20C17A8KE8000/

破壊的技術で試行錯誤しているうちに突然イノベーションが始まる瞬間があります。顧客が製品・サービスを購入するのは、それによって何らかの用事を片付けるためであり、その「片付けたい用事」を突き止めることができれば出発点になります(クリステンセンの『イノベーションへの解』)。1980年代から始まるイノベーションの波は、破壊的技術となったコンピューターを駆使して「片付けたい用事」を次々と完遂するソフトウエアを作り、既存の巨大企業を破壊してきた歴史といえます。

クリステンセンはこの考え方を発展させ、『Competing Against Luck』ではイノベーションは運ではなく戦略だとしました。顧客がすぐに欲しがり、プレミア価格を払っても買いたくなる製品やサービスをつくることができるというのです。そこで取り上げているエアビーアンドビーやウーバーテクノロジーズのサービスには、顧客が「片付けたい用事」を達成するためのデザインにあふれています。

目的(片付けたい用事に相当)を達成するためのデザインを「経験デザイン」、目的を達成しようとする人を「ペルソナ」と呼んでいます。抽象的な顧客モデルではなく、ターゲットの人物像を具体的にイメージすることで、製品・サービスに何が必要で何が不要かを明確に意識して設計できるのです。

「Competing Against Luck」は翻訳されてないようですが、原版でも読む価値があるように思いました。