ドイツに見る指導者の資質 差別許さず正義を貫く

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO21226680W7A910C1TCL000/

2015年の夏、多数のシリア難民が欧州に押し寄せたとき、メルケル首相は約100万人もの難民受け入れを決断しました。その後、ドイツ国内では難民による治安の悪化やイスラム過激派によるテロが相次ぎ、メルケル首相の支持率が一時低下しましたが、ここへ来て、持ち直しています。多くのドイツ国民は、難民受け入れを容認しているのです。

そこには第2次世界大戦への深い反省があります。ナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺と少数民族の抹殺という過去に対してです。ドイツ国内各地の歩道には、「つまずきの石」と呼ばれるプレートが埋め込まれています。プレートには氏名と没年月日などが刻まれています。その歩道の前に住んでいて殺害されたユダヤ人のことなのです。気をつけて歩かないとつまずいてしまう。わざとそうすることによって、現代のドイツ人に、過去を思い起こさせているのです。

戦火を逃れてドイツにやってきたシリア難民の姿は、ドイツの人たちにとって、過去のドイツが抹殺した少数民族と二重写しに見えたのです。だからこそ、メルケル首相の難民受け入れは容認されました。その決断と正義感もまた、国民に受け入れられたのです。差別を許さず、正義を貫く。人権問題であれば、外国のことでも座視しない。これがメルケル首相の強さなのでしょう。

なるほどドイツという国の強さを窺い知れる記事でした。つまずきの石にドイツの姿勢が反映されています。