赤ちゃんポスト設置した医師 蓮田太二さん 血縁超える愛、幼い命を守る

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO11260540R00C17A1CC1000/

「こうのとりのゆりかご」。発案した院長の蓮田さん(80)は2007年の設置以前から「産み捨てを助長する」などと批判され続けているが、信念が揺らいだことはない。ドイツで赤ちゃんポストを視察。帰国後、乳児が遺棄され、死亡するニュースが相次いだ。おなかに宿った命を大切にし、時に命懸けの出産の現場に立ち会ってきた医師として、見過ごせなかった。

子供が出自を知る権利を阻害するという批判に対しても、蓮田さんは「出自より命が大切」と言い切る。生きて愛情を注がれれば、幸せに育つことができる。「自分の子供が一番かわいい」と目を細める養父母や「両親に本当に感謝している」と話す子供と接してきて、「血のつながりを超える愛情」があることを教えられてきた。

「傍観者ではいられない」という生き方は、父から受け継いだのかもしれない。父、善明さんはマレー半島で敗戦を迎えた。「もはや天皇制はない」と訓示した上官を射殺し、自決した。国や天皇のためにと戦い、多くの人命が失われた。その死を無駄死にとするような言葉に我慢できなかったのだろう。泰然自若とした蓮田さんの表情が唯一、崩れたのは父の最期に触れた時だった。

お父様から受け継いだ生き方が、蓮田さんの生き方に受け継がれていることもまた感動的です。