米国の選択 怒る白人の受け皿に

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO09986820W6A121C1TCL000/

「外国と自由貿易協定を結ぶことで米国の産業が空洞化し、雇用が失われる」というトランプ氏の主張の象徴が「TPPからの離脱」でした。高収入の仕事がなくなり、低賃金の不安定な雇用しか残っていない人たちには、「自由貿易」のメリットを聞かされても、何の意味もありません。「強い米国を取り戻す」という、わかりやすい、しかし内容のないスローガンが心に響いたのです。

自由貿易を否定し、中国製品など外国産の商品に高い関税をかければ、結局は米国内での物価上昇につながり、トランプ氏に投票した人たちの生活が苦しくなります。そうなったとき、彼らはどんな反応を示すのでしょうか。そのときトランプ大統領は、どこかに「敵」を作り出し、敵に向かって国民の団結を呼びかける。そういう事態になることを恐れます。

最も有効な手段は、インターネット動画での発信でしょう。TPP離脱宣言も、インターネット動画での演説でした。従来の大統領でしたら、記者会見で発表するもの。でも、そうなると、記者たちの鋭い質問に答えなければなりません。インターネット動画なら、その心配はありません。たとえ事実誤認や誇張があっても、その場で追及されることはありません。トランプ氏のような人物にとって、絶好のメディアなのです。

自由貿易否定による弊害と懸念、ネットメディアの活用について。これまた分かりやすい池上解説でした。