「イスラム国」問題の行方 民族・宗派対立の懸念なお

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO20126560Y7A810C1TCL000/

過程で見逃せないのが「『サイクス・ピコ協定』の打破」を打ち出したこと。第1次世界大戦のころ、英国が広大なオスマン帝国の分割支配をフランスなどと交わした密約です。勝手に引かれた国境線を引き直す。中東の人々には、民族の尊厳を取り戻すメッセージとして響いたのです。

イラクでは、長年、少数派だったスンニ派のフセイン政権による支配が続きました。米国が攻撃して政権が崩壊すると、対立してきたシーア派が主導権を握り、大混乱に陥ったのです。シーア派の大国イランはイラクを支援しています。一方、スンニ派の大国サウジアラビアは警戒心を強めています。イスラム国壊滅でシーア派系のアサド政権が延命することは、対立するサウジアラビアとして、面白くないのです。

「イスラム国」に呼応する新世代のテロリストが生まれる可能性もあります。その背景には欧米に移り住んだイスラム教徒やその子や孫の世代には、経済的に恵まれず、社会的な差別という厳しい現実があるためです。

ISに関する最新の池上解説を知ることができました。確かに本質的解決にはなっていないということですね。


「イスラム国」解体の始まり モスル解放 イラク、復興へ長い道のり

http://www.nikkei.com/article/DGKKASGM09H8V_Z00C17A7FF8000/

2014年以降の原油価格の低迷で、イラク政府の財政は厳しい状態が続く。復興財源の確保は困難が予想される。アラブ諸国や国際社会の支援が不可欠だ。

モスルではオスマン帝国の時代から、スンニ派、シーア派、クルド人、ユダヤ教徒らによる共同体が存在していた。宗派間の対立が激化したのは、戦後の国家づくりの過程で利権争いが激しくなったためだった。今回もモスル復興の主導権争いが情勢を複雑にする懸念がある。

過激思想を広げる背景になった中東や欧州の課題は残る。アラブ各国の宗派・民族の対立や非民主的な体制、欧州で疎外感を受ける中東系の移民の若者や、行き場を失った難民への対応などだ。別の場所で別の過激派が、ISの活動を引き継ぐ懸念はくすぶる。

モスル奪還は大きいと思いますが、ローンウルフもたくさんいるでしょうし、世界からISの驚異が去ったとは思えません。


米ロ、思惑抱え仕切り直し シリア攻撃後初の首脳協議 対テロ軸に修復模索 北朝鮮対応、立場に相違

http://www.nikkei.com/article/DGKKASGM03H4Z_T00C17A5FF1000/

今回の電話協議はロシア側主導で実現したもようだ。クレムリンは「シリア危機を背景に、将来のロシアと米国の国際テロに対する行動の調整を話し合った」と強調し、対テロをテコに対話復活を目指す意図を示した。

トランプ氏はかねてIS掃討を最重要課題に掲げ、ロシアのウクライナ侵攻により冷え込んだ米ロ関係の改善を主張してきた経緯がある。米ロが対テロ協力を進めるには、アサド政権と反体制派の戦闘が続くシリアの停戦で折り合う必要がある。

北朝鮮情勢を巡る米ロの思惑の違いも浮き彫りとなった。ホワイトハウスは「最善策を協議した」とだけ発表。一方のクレムリンは「ロシア大統領は自制と緊張緩和を要請した」と指摘し、米国をけん制した。国連安全保障理事会では4月、中国も賛成した北朝鮮のミサイル発射を非難する報道声明についてロシアだけが反対し、文言を変更させた。

ISや北朝鮮を道具に関係修復という構図ですね。ただロシアは米中接近を警戒しているので一筋縄ではいきません。


9.11から15年 「イスラム国」憎悪の連鎖

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO07597770U6A920C1TCL001/

もし核兵器が造られ、それが国際テロ組織に渡ったら……。誇大ともいえる危機感に駆られたブッシュ政権の米国は、「フセイン政権は大量破壊兵器を持っている。攻撃される前に攻撃する」と宣言。イラクを攻撃します。しかし、大量破壊兵器は見つかりませんでした。

ブッシュ大統領は、フセイン政権さえ倒れれば、イラクは民主化されると簡単に考えていましたが、そうはいきませんでした。イラクには、アラブ人とクルド人が住んでいる一方、宗教ではイスラム教のスンニ派とシーア派に分かれていました。フセイン大統領は、スンニ派を優遇し、シーア派やクルド人を弾圧してきました。

フセイン政権崩壊後、米国主導で総選挙が実施されます。選挙をすれば、シーア派が国民の多数を占めていますから、新政権はシーア派中心になることは明らかでした。新政権は、フセイン政権時代の恨みを晴らそうと、スンニ派狩りを始めます。これに対し、スンニ派は抵抗します。この混乱の中から、スンニ派の過激派組織が誕生します。これがISの前身です。

正しい歴史。たいへん勉強になります。ISは共和党のブッシュ政権によるイラク攻撃がきっかけだったと理解しました。


「イスラム国」リビアで拡大 「第2のシリア」化懸念 戦闘員最大3000人指摘

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http://www.nikkei.com/article/DGKKASGM25H07_W5A221C1FF8000/

リビアは、中東の民主化運動「アラブの春」の波が押し寄せた2011年8月、カダフィ独裁政権が崩壊した。その後、部族対立や利権争いによる内戦が激化。混乱に乗じてISが勢力を広げた。

国連は報告書で、リビア国内に2000~3000人のIS戦闘員がいると指摘し、北アフリカの最大拠点になっている現状を裏付けた。北部の沿岸部で影響力を強め、地元のイスラム主義者のほか、エジプトやチュニジアから過激思想に染まった若者が合流しているようだ。

イラクとシリアで油田を制圧して活動資金を得ているISはリビアの油田にも大きな関心を示しているとされる。ベギン・サダト戦略研究センターのヒラル・フリッシュ上級研究員は「リビアは、政治空白と民族対立という、過激派が浸透しやすい素地がある」と指摘する。

思想は距離を超えますから、本当に危機を感じます。リビアは無政府状態に等しいようです。


「イスラム国」包囲に亀裂 トルコがロシア軍機撃墜 シリア巡る対立背景 プーチン氏「裏切りだ」

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http://www.nikkei.com/article/DGKKASGM24H94_U5A121C1EA2000/

ロシアはアサド政権を支援するため、IS掃討の名目でシリア領内の空爆を開始した。実際にはアサド政権と敵対する反政府勢力も標的にしているとされ、トルコのエルドアン政権はトルコ系トルクメン人も空爆されているとして不満を募らせていた。

トルコは反アサド政権で米欧などと歩調を合わせるが、IS掃討よりもアサド政権を支援するイランや、エルドアン政権と対立するクルド人の勢力をそぐことに主眼を置く。パリの同時テロを契機に欧米とロシアの協調機運が高まり、アサド政権の存続の是非を巡る問題が棚上げされることを懸念する。今後の交渉をにらみ、存在感を示すためにこのタイミングでロシア軍機の撃墜という強硬策に踏み切ったとみられる。

プーチン氏がトルコ側を強く非難した背景には、自国軍機への攻撃を不問に付せば政権の求心力が低下しかねないとの危機感があるとみられる。国際社会の敵であるISへの協力疑惑を持ち出すことで、トルコに対して外交的に優位な立場を確保する狙いも透ける。

トルコ側にロシアに対してたまっていた歴史的な鬱憤が暴発したものと思われます。負の連鎖が起きなければよいですが。


「ロシアはアサド政権加担」 「イスラム国」不在地域空爆か 米、反体制派標的と批判

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http://www.nikkei.com/article/DGKKASGM01H4F_R01C15A0FF1000/

「無分別」「逆効果」「非生産的」。カーター氏はISがいないシリアでのロシアの空爆をなじった。ロシアに不信感を募らす米側はロシアのIS掃討にも懐疑的だった。言葉でこそIS不在地域の「可能性が高い」にとどめたが内部ではほぼ断定している。

米側が主導するIS掃討作戦は、シリアの反体制派を軍事訓練したうえで参加させる構想だ。この軍事訓練は進まず、その間にISの進撃は続く。オバマ米大統領らは成果は上がっていると繰り返すが、ロシアは有志連合が苦戦する現状を見抜いている。

ロシアがIS掃討の名を借りて反体制派を攻撃すれば、ISとともに米側が退陣を迫るアサド政権の存続にも手を貸すことになる。IS掃討の主導権をロシアに奪われた上にシリア情勢がさらに複雑になるのは必至だ。

やはりという感じですが。ロシアも「攻撃対象はISや他のテロリストだ」と認めていますし、ちょっと怖いですね。


自衛隊、米軍と緊密連携 安保法案を閣議決定

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http://www.nikkei.com/article/DGKKZO86818770V10C15A5EA2000/

首相が強調したのが、集団的自衛権の行使に基づく米軍の防護だ。海外で紛争が発生し、退避しようとする日本人を米艦が輸送するケースを例示。個別的自衛権しか認めていない現行法では「日本近海で攻撃を受けても日本自身が攻撃を受けていなければ救出できない」と法改正を説いた。

主に朝鮮半島有事での後方支援を想定した周辺事態法を改正し、日本から遠く離れた場所でも、戦闘現場でなければ後方支援できる。米軍が担いきれなくなった「世界の警察」としての役割の一部を自衛隊が補完する枠組み。首相は「米国の戦争に巻き込まれると漠然とした不安を持つ方もいるかもしれない。そのようなことは絶対にない」と訴えた。

首相は米軍が主導する中東の過激派組織「イスラム国」への空爆作戦を「後方支援することはない。はっきり申し上げたい」と否定。安保法制は、4月に改定したガイドラインと表裏一体だ。いずれも、東シナ海で航空機や艦船の活動範囲を広げ、南シナ海で軍事拠点をつくるため岩礁の埋め立てを進めているとみられる中国へのけん制も狙っている。

色んな見方があるんでしょうが、首相が独裁者で戦争を始めようとしているとか極端な発想で思考停止するんではなく、多様な側面から観て考える必要があると思います。


中国に「イスラム国」の影 現地で訓練、新疆に戻りテロか 締め付け強化、観光に打撃

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http://www.nikkei.com/article/DGKKASGM10H5C_Q5A310C1FF1000/

自治区では多数の死傷者が出る暴力事件が相次ぐ。2月17日にはアクス地区でウイグル族と警官隊が衝突し、合計17人が死亡する事件が起きた。その数日前にはホータン地区でウイグル族の青年が警官に抱きついて自爆し、数十人が死傷したとされる。

危機感を強める習指導部はこうした「暴力分子」を力で押さえ込む構えだ。昨年5月には超法規的な措置も辞さない「対テロ戦争」を宣言し、軍も動員して現地の警戒を強めた。ホータン地区のウイグル族住民によると、祈りの集会で民家に集まった主婦たちが誤射されたり、信号を無視しただけで射殺された若者もいたという。

さらに開催中の全全人代は「反テロ法」の審議が進む。国家分裂を促すような「思想」を持ったり、民族対立をあおるような「言論」をしたりしただけで「テロ分子」として検挙できるという内容で、年内にも立法化する見通しだ。

穏やかならぬ雰囲気。新疆の過激派も問題ですが、「対テロ」の大義名分のもと、不満を封じ込める習指導部のやり方も質が悪すぎる。


「イスラム国」流入止まらず 疎外された若者が「感化」 米欧など情報共有強化

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http://www.nikkei.com/article/DGKKASGM26H2O_W5A220C1FF1000/

過激派「イスラム国」への参加を試みる外国人の若者らの流れが止まらない。過激思想に感化されてシリアへの渡航や母国でのテロに走る若者らが後を絶たず、欧米などは監視強化に追われている。

イスラム国などが扇動するのは、貧困や差別などで社会から疎外された若者らだ。ソーシャルメディアを通じてメッセージを直接伝え、過激思想を植え込む。社会に不満を持つ若者らは、聖戦を呼びかける過激派に感化されやすいという。

オバマ米大統領は同会議で「教育を受けていない若者は陰謀説や過激思想に染まりやすい」と演説し、教育や貧困防止が不可欠だと訴えた。ただ過激派対策は「数世代にわたる課題だ」とも漏らした通り、即効性のある解決策は見当たらないのが実情だ。

逮捕されたカザフスタン人男性はFBIの内偵下にあったので食い止められたようですが、流入が止まらないので危機感募ります。