パリ協定離脱と米国 透ける大統領再選の思惑

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO19103220R20C17A7TCL000/

この決断を巡っては政権内部の確執が取り沙汰されました。この方針は側近の一人であるバノン首席戦略官・上級顧問が唱えていたものでした。これに対しクシュナー上級顧問はパリ協定にとどまることを主張していたからです。

そもそも共和党はエネルギー産業と深い関わりがあります。パリ協定は、エネルギー産業が被るダメージが大きくなります。石炭産業を守る政策として、協定離脱は労働者に直接響くメッセージなのです。

2018年には米連邦議会の上院・下院の中間選挙があります。勢力を維持し続けるには、有権者にうけのいい雇用を最優先する内向き政策を取らざるを得ないのです。というのも、ロシアゲートの捜査次第では、政権への逆風が強まる可能性があるからです。

パリ協定離脱とエネルギー産業、選挙、内向き政策、ロシアゲート、このあたりのキーワードがうまく繋がりました。


ネット社会に潜むリスク 真偽見極める判断力を

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO18041450T20C17A6TCL000/

大統領選挙中、トランプ氏に有利と思われるフェイクニュースがネットを駆け巡りました。誰かの意図的な情報操作が、人々の世論に影響を及ぼす時代が来てしまったのでしょう。一部の人々の金もうけの手段にもなってしまいました。

英オックスフォード英語辞典が選出した2016年を象徴することばは、「ポスト・トゥルース」。直訳すれば「脱・真実」といった意味になるでしょうか。つまり、情報が事実かどうかよりも、情報の受け手の感情や信念を動かす情報の方が、世論を形づくるうえで重要な役割を持っている時代。そんな時代の変化を象徴するキーワードです。

ネット社会には、大量の情報を無条件に受け入れるリスクがあることも知っておく必要があるのです。漫然とスマホの画面を眺めているのではなく、時には「どうしてなのか」「本当なのか」と疑うことも大切です。ネットでは、自分がほしい情報が集まる傾向がありますから、反対意見や批判的な指摘にも目を向ける経験をしてみる必要があるのではないでしょうか。

「情報が事実かどうかよりも、情報の受け手の感情や信念を動かす情報が重要な役割を持っている時代」。


温暖化に懐疑論 なぜ トランプ政権下、米で勢い 背景に予測の不確実性

http://www.nikkei.com/article/DGKKASGG03H0F_T00C17A6TJM000/

歴史的に共和党政権下では「温暖化懐疑論」が根強く、世界に影響を与えてきた。米国でも大多数の科学者は、人間活動が温暖化を深刻にするという考えを支持する。しかし、予測の不確実さなどを問題視する一部の研究者が政府と結びつき発言力を増している。

最近のオーストラリアの研究グループの調査では、温暖化に関する論文の著者の約97%は、人間活動が温暖化をもたらすとの考えを支持した。一方、米調査機関ピュー・リサーチ・センターや米エール大学の世論調査で、人間活動による温暖化について「科学者が合意に達している」との回答は半数に満たない。

科学的論争は未決着と考える人が多い背景の一つに、1998年から十数年間、温暖化が止まったようにみえた「ハイエイタス」現象がある。大気中のCO2は増えているのに、気温が予測通りに上がらない現象だ。

手法によって数値が変わったり、過去との比較はどの期間の気温を基準とするかに左右されるということも納得はできます。


ソフトバンク動く 「10兆円ファンド」AI照準 利害交錯、危うさ抱え

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO16718660S7A520C1TI1000/

「AIによって人類史上最大のパラダイムシフトが起きる」。孫氏は10兆円ファンド設立の狙いをこう語る。医療からロボット、農業まで、既に投資先候補は30社近くをリストアップ。AIによる情報革命が生む果実を、ファンドを通じて手中にするつもりだ。

目を付けたのがオイルマネーだ。孫氏はアーム買収と前後して中東諸国を行脚し、ファンド構想に自信を持ち始める。そこに現れたのが、サウジの若き実力者、ムハンマド副皇太子だった。45分の会談で450億ドル(約5兆円)の拠出を引き出した。

これまでソフトバンクの投資事業の収益率は44%。10兆円ファンドが同じようなリターンを生めばドル箱となる。しかし一歩間違えれば巨額の損失につながる。利害関係者が増えれば調整に時間がかかり、経営のスピードが落ちかねない。次なる成長への大きな賭けにより、ソフトバンクは新たなリスクを抱え込んだ。

トランプ外遊に孫さんも一緒だったとは知りませんでした。しかしどえらい話が展開されています。


ソフトバンク10兆円ファンド始動 世界ハイテク地図揺らす IoT・AIを軸に

http://www.nikkei.com/article/DGKKASDZ20H4F_Q7A520C1EA2000/

「真のゴールドラッシュが始まる」。孫氏はIT産業に押し寄せるイノベーションの波をこう表現する。変革を促すのはIoT時代の到来、それを可能にするAIの進化だ。AIによって「あらゆる産業が再定義される」と言う。

巨大ファンドの出現は、米主導だったハイテク産業に新たな基軸が生まれることを意味する。孫氏は少額出資ではなく投資先の株式20~40%程度を握る筆頭株主となる戦略を貫く。投資先との連携を深め起業家たちを結ぶネットワークを築く。そこから新たなビジネスチャンスを探るのが「孫流投資」の特徴だ。

新ファンドはベンチャーを巡るカネの流れを一変させる可能性もある。世界のベンチャーファンドの組成額は米中が突出するが、いずれも4兆円に満たない。新ファンドも最大の投資先は米国になる見通しだが、孫氏はアジアでの有力企業発掘で実績を残している。今後もアジア向け投資を加速させるもようだ。

改めて、AIによってあらゆる産業が再定義されるという認識が強まりました。そうなると商機もたくさん生まれてきます。


米ロ、思惑抱え仕切り直し シリア攻撃後初の首脳協議 対テロ軸に修復模索 北朝鮮対応、立場に相違

http://www.nikkei.com/article/DGKKASGM03H4Z_T00C17A5FF1000/

今回の電話協議はロシア側主導で実現したもようだ。クレムリンは「シリア危機を背景に、将来のロシアと米国の国際テロに対する行動の調整を話し合った」と強調し、対テロをテコに対話復活を目指す意図を示した。

トランプ氏はかねてIS掃討を最重要課題に掲げ、ロシアのウクライナ侵攻により冷え込んだ米ロ関係の改善を主張してきた経緯がある。米ロが対テロ協力を進めるには、アサド政権と反体制派の戦闘が続くシリアの停戦で折り合う必要がある。

北朝鮮情勢を巡る米ロの思惑の違いも浮き彫りとなった。ホワイトハウスは「最善策を協議した」とだけ発表。一方のクレムリンは「ロシア大統領は自制と緊張緩和を要請した」と指摘し、米国をけん制した。国連安全保障理事会では4月、中国も賛成した北朝鮮のミサイル発射を非難する報道声明についてロシアだけが反対し、文言を変更させた。

ISや北朝鮮を道具に関係修復という構図ですね。ただロシアは米中接近を警戒しているので一筋縄ではいきません。


ミレニアル世代が創る世界

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO16032800S7A500C1TCR000/

米テスラが先月、GMやフォード・モーターを株式時価総額で追い抜いた。原動力はミレニアル世代の投資家だったとされている。ミレニアル世代は「バリュエーション指標より経営者(=マスクCEO)の世界観をみている」とアクセンチュアの川原マネジング・ディレクターは指摘する。世界で網の目のように設置するという充電ステーションと車、家庭、発電所をつなぎ、再生可能エネルギーとビッグデータの「プラットフォーマー」の座を狙う。その一方、環境保護で「地球と人類を救う」などの壮大な理念も掲げる。

自身もミレニアル世代の深尾浜銀総合研究所主任研究員は「この世代のキーワードはexponential(指数関数的)」と話す。3の2乗は9、3乗は27という乗数に似た加速度的成長軌道を表す。テスラで言えば「従来の車、エネルギー、宇宙企業ができなかったことを短期間で実現し、指数関数的な速度で追い抜いていく可能性を感じる」(同)そうだ。

国立社会保障・人口問題研究所によれば、日本の人口は2053年に1億人を割る。この年、ミレニアル世代は53~73歳を迎え、生産年齢人口の大半を彼らと次の「ポストミレニアル世代」が占めるようになる。人口オーナスの時代を任される世代であり、それを跳ね返すような技術革新や産業構造の変革を期待したい。この世代を支援する価値は十分にある。教育や活躍の場を与えることこそが、上の世代の役割だろう。

ミレニアル世代が投資において経営者の世界観をみているという点と、この世代のキーワードがexponentialという点が興味深かったです。


シリア内戦の行方 米軍攻撃が問う人道的介入

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO15878450Y7A420C1TCL000/

国連憲章は原則として武力行使は禁じているのですが、国連決議がある場合と、自衛権を行使する場合という2つのケースを例外としています。トランプ大統領は「化学兵器の使用と拡散を防ぐことは、米国の安全保障の上で非常に重要な国益である」と強調したと報じられました。自衛権に基づいていれば、正当性があることを示したかったのでしょう。

指摘しておきたいのは、学生の意見にもあった「人道的介入」の是非についてです。1990年代。旧ユーゴスラビアを構成していたセルビアと自治州コソボの分離独立を巡る対立です。政府の住民弾圧が激しくなり、NATOは自治州の住民保護のため軍事介入しました。その是非をめぐって、国際世論は大きく揺れました。

住民保護はどこまで許されるのか。たとえばロシアはウクライナに介入し、クリミア半島を編入してしまいました。バルト3国では、リトアニアやエストニアにいるロシア系住民の保護を目的に、ロシアが介入するかもしれないという懸念が強まっています。

個人、国のもつ人道的介入観によって左右されますね。歪んだ介入観によっての軍事介入の懸念は強まっています。


米朝緊迫 長期化の様相 米、追加制裁視野に/北朝鮮、砲撃訓練で威嚇

http://www.nikkei.com/article/DGKKASDC25H1O_V20C17A4EA2000/

北朝鮮の狙いは、核保有を米国に認めさせたうえで米朝協議に持ち込んで金正恩体制存続の保証を手にすることだ。米国に届く核・ミサイルは体制を守る切り札とみている。

28日には日米外相らが出席する国連安保理の外相級会合を開き、米国主導で北朝鮮の追加制裁を協議する。安保理では北朝鮮を支援するロシアの動きが焦点になりそうだ。日米韓の3カ国は、都内で首席代表会合を開いた。

北朝鮮の対話と圧力で鍵を握る中国も動いた。「中朝間の外交ルートは非常に円滑に通じている」。中国外務省の耿爽副報道局長は、北朝鮮が核実験やミサイル発射を見送ったことについてこう語り、水面下での働きかけをにおわせた。

関係国の戦略目標、相関図が現在のステータスですね。25日はレッドラインを越えずに安堵感。


好機狙った「TPP11」 首相「いずれ米国迎え入れ」 日米対話後に照準

http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS22H0K_S7A420C1EA3000/

安倍政権がTPP11を進める真の狙いは、いずれ米国を引き戻すことにある。日本主導で地域の通商・貿易ルールをつくり、時が満ちてから米国を迎え入れる――。首相の意思は固まっていたが、問題は構想を表明するタイミングにあった。トランプ政権との関係構築の段階にある中で、あまりに早く「米抜き」を表明すれば、米側の反発を招く恐れもあり、参加国の不安にもつながる。一方、日本がいつまでも態度をあいまいにすれば、参加国の足並みが乱れかねない。

米国とは水面下で間合いの探り合いをはじめた。米側は2国間交渉を要求するが、TPP11ははばまない――。感触を得た日本は構想表明のタイミングとして日米経済対話後に照準を絞った。米側ともきっちり話をつけて進めているとの他の参加国へのメッセージを込めたものだ。

米国とのFTAに前向きな国への根回しも進めた。同日の日本とASEANの経済閣僚会合。「FTA一本足にならないほうがいい」。世耕経済産業相はベトナムのアイン商工相に呼びかけた。

11カ国のTPPはあくまで米国を含む12カ国の枠組みを捨てているわけではないというのが共通認識なんでしょう。