シンゾウとの距離 二階俊博 あうんの呼吸、いつまで

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO19087120R20C17A7PP8000/

安倍は自身に思想信条が近い「お友達」で周囲を固めたい気持ちがある一方、二階や菅といった異なるタイプの政治家を高く評価する。安倍はことあるごとに「百戦錬磨、自民党で最も政治的技術を持っている」と二階を持ち上げ、二階も「ポスト安倍は安倍」と長期政権を支える立場を徹底してきた。

その腕力は時にあつれきを生む。二階が狙った無所属で自らの派閥に所属する長崎幸太郎の復党問題。書面提出で多数決にかける強行突破を試みた。しかし、18人の委員のうち、二階の意向に沿って復党に賛成したのは6人。二階は「党人事後の次の体制で審議する」となお執念をみせるが、党内からは「派閥を拡大するために幹事長のポストを使っているだけだ」との不満も表面化する。

「安倍1強」への逆風が強まる中、来年9月には党総裁選、年末には衆院議員の任期満了が控える。「衆院解散は総理の権限ですが、選挙は1人でできますか」。衆院解散風が吹いた3月中旬、二階は安倍にこうクギを刺したことがある。安倍と二階。あうんの関係は緊張関係の裏返しでもある。

首相より16歳上の大先輩でこういう実力者をしたたかに活用している点、安倍さんは長けていると思います。


シンゾウとの距離 小泉進次郎 互いの価値を値踏み

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO19030960Q7A720C1PP8000/

衆院当選3回ながら衆目が一致する「将来のリーダー」。嫉妬の渦巻く永田町で、謙虚さを前面に慎重にキャリアを積んできた。だからこそ改造で噂される「異例の抜てき」には不安もぬぐえない。要職を受け失敗すれば非難の嵐となりかねない。一方、官房副長官など政権の中枢に入れば政権を擁護せざるを得ず、これまでの政権批判も辞さない清新なイメージは壊れてしまう。

首相とは微妙な距離感を保つ。「時間軸が違う気がするんだよね」。こう評したことがある。実際、遊説や党内論議でアベノミクスに触れたことはほぼない。金融緩和や財政拡大などカンフル剤的な政策にも一定の同調は示すが「日本の課題は20年以降に一気に顕在化する」と構造改革の必要性を訴える。

「いろいろ言ってて頼もしいね」と安倍は最近、皮肉にも似た感想を周囲に漏らした。政権浮揚のカードだが、引き立てた結果、自らの後継者とはいえない政治家を育ててしまう恐れもある――。首相周辺は「進次郎は首相にとってもろ刃の剣でもある」と語る。

まさに距離感のよく分かる記事でした。将来のリーダーであることに違いはないと思いますが、現政権での人事など注目です。


シンゾウとの距離 石破茂 モノ言い強める無役

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO18929910X10C17A7PE8000/

「政権中枢と近い方がポストは得られることはわかりきっている。でも、いざという時に俺がモノを言わなかったら自民党はどうなるんだ」。都議選ショックを受け徐々にカジを切り始めた。都議選後の10日間で受けた新聞やテレビの取材は10を超え、露出作戦を強める。

「総理と全面対決だ」と息巻くのが憲法改正だ。安倍は9条の1項と2項を維持したまま自衛隊を憲法に明記する案を提起。石破は、戦力不保持を定めた2項の規定と矛盾すると指摘するが、首相提案への反対論は党内で広がらない。「多くの人がおかしいと思っているのに、総裁の意図がそこにないと思って何も言わない」

石破が「ポスト安倍」を射止めるには、まず安倍批判層の受け皿にならないといけない。だが徹底した安倍批判の戦術は嫌う。次の総裁選へ勝機を探るが、安倍との違いを明確に自分の政策の旗印を掲げて「安倍降ろし」を仕掛けるわけではない。無役の戦いは「出口」が見えないままだ。

確かに都議選後テレビでよくお見かけしました。もちろんポスト安倍を狙っていると思います。


シンゾウとの距離 岸田文雄 時機を探る慎重居士

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO18914050V10C17A7EA3000/

1月には「安倍首相時代の後、何ができるか考えたい」と表明した。安倍と直接戦う訳ではない。政権を支え、3選を目指す安倍が退任した後に「首相の座」を狙うのが基本戦略だ。岸田派も、いまは党内第4派閥。トップをうかがうには安倍を支える最大派閥・細田派や、麻生が率いる第2派閥・新麻生派に気を配らねばならない。

慎重居士の岸田の淵源は何か。岸田周辺は17年前の「加藤の乱」を挙げる。かつて宏池会を率いた故・加藤は、当時の首相、森に反旗を翻し、失脚した。首相の座に最も近い位置にいながら勝負を急ぎ、すべてを失った。加藤側近の若手で加藤の乱に関わった岸田は、政治の厳しさを間近で見た。

「安倍政権にいるからポスト安倍なんだ。閣外に出たらただの人だ。よく考えろ」。安倍に近いベテラン議員は最近、岸田に外相続投を促した。岸田は迷っていたという。岸田は官邸に安倍を訪ねると「引き続き政権を支えます」と伝えた。「どういう展望を持っているか、よくわからない」。安倍に近い閣僚の一人は岸田を評した。主義・主張が必ずしも近いとはいえない安倍を支えながら存在感を示そうとする戦略が抱える宿命だ。

政治の駆け引きが見て取れます。原点は昔から加藤の乱と言われていますね。首相からの「次の総裁選、出るつもりなの?」は驚いたと思います。


都議選・取材後記 「小池流」支える孫子の兵法

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO18604550X00C17A7TCL000/

「戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」戦いにおいては、戦わずに敵の兵を屈服させることが最上である、という意味です。今回の選挙で、小池氏は、自民党や民進党の議員たちを「都民ファーストの会」に迎え入れました。もともと選挙の後援会や組織を持っている人たちを引き込むことで、消耗戦に持ち込まずに勝利を得ました。

「凡そ用兵の法は、国を全するを上となし、国を破るはこれに次ぐ」相手の国を打ち破るのではなく、丸ごと手に入れることが最善である。小池氏は、自民党と連携していた公明党を味方に引き入れました。自民党側についていた勢力を丸ごと手に入れたのです。

権謀術数を、彼女はどこで体得したのか。エジプトのカイロ大学留学中だったと私は推測しています。小池氏は以前、私にこう語ったことがあるからです。「日本の政治は戦争と言っても甘いものよ。命を取られることはないのだから」アラブ世界の政治は権謀術数が渦巻いています。政治も文字通り命がけの戦い。それをじっくり観察していたのです。

小池さんと孫子の兵法、興味深いです。カイロ留学の話を踏まえると筋金入りな感じです。


おごり・緩み、もろさ露呈 安倍1強 危機感薄く 保守層、都民フに流れる

http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS03H52_T00C17A7EA2000/

「都民ファーストは保守なんだよね」。首相周辺は選挙直前までこう軽口をたたいていた。事実、小池氏は首相と同じく憲法改正に理解を示す一人だ。自民党は都民フと保守層を奪い合う展開になると理解しながら、惨敗を喫した。

小池氏への批判を容認していた首相の危機意識は、どこか乏しいと言わざるを得ない。都議選の個別候補の応援演説に入ったのはわずか4回にとどまった。告示前も含めて20カ所以上で街頭演説した前回の都議選との違いは明らかだ。

投開票日の当日夜、首相は高級フランス料理店で会食した。テーブルを囲んだのは菅官房長官や麻生副総理・財務相、甘利明前経済財政・再生相。第2次安倍政権の発足から中枢を担ってきた盟友たちだ。首相にとっては安心する相手かもしれないが、周囲にはどう映るだろうか。閣僚経験者の一人は「これだけ負けているのに何が原点回帰だ。お友達回帰なだけだ」と述べ、側近政治だと批判する。

投開票日夜の会食メンバーを見ると、確かにお友達回帰と言われるかもしれません。閉会中審査も検討に入りました。


安倍1強 岐路に 自民、過去最低23議席 解散・改憲に不透明感

http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS02H18_S7A700C1NN1000/

衆院解散・総選挙を巡る判断にも影響がある。衆院議員の任期満了は来年12月。そこまでに必ず衆院選はある。20年の新憲法施行を目指す首相が早期の改憲を実現するには、衆参両院で憲法改正の発議に必要な3分の2の「改憲勢力」を維持する必要がある。だが、自民党に強い逆風が続く中で次の衆院選を迎えれば、維持できない数字だ。

今回の結果を受け、首相に近い閣僚経験者は「年内に衆院解散・総選挙はできない」と話す。来年の通常国会で改憲を発議する日程が取り沙汰されているなか、改憲勢力3分の2を維持するため、衆院議員の任期満了近くまで選挙には踏み切れない、との見方だ。早期に解散に打って出て敗北すれば、来年9月の総裁任期切れ前に退陣に追い込まれかねない。

だが、支持率の下落が続くようなら、より迅速な対応が迫られるかもしれない。与野党では、次期衆院選で小池都知事と連携して国政進出を狙う勢力がある、との声がある。自民党都議が大量に落選し、都内の衆院小選挙区の基盤が崩壊した以上、小池知事らが準備を整える前に、早期解散をしなければならなくなるケースだ。

都民フが勝ったのではなく、自民党が負けたという見方が多いです。ひとまず人事がセンシティブなところ。


「小池氏支持で都民フ」4割 都議選世論調査 投票先と知事人気に差 自民も3割が都民フ

http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS25H1J_V20C17A6NN1000/

小池氏を「支持する」は66.5%と「支持しない」の21.7%を大きく上回った。だが小池氏を「支持する」と答えた人のうち都民フに投票すると回答したのは40.7%。小池氏周辺では、かねて小池氏への支持と都民フへの投票行動が連動しない可能性が取り沙汰されており、今回の調査でもそうした実態が透ける。

自民党は前回選で、59人の候補者全員が当選する完勝を果たしたが、今回は加計学園の獣医学部の新設問題などを巡って足元が揺らぐ。

自民党は支持層の88.8%が自民党に投票すると答え、都民フへの投票を選んだのは5.5%だった。ところが「前回の都議選で自民党に投票した」と答えた人を分析すると「今回も自民党に投票」は53.8%にとどまり、26.9%が都民フを選んだ。前回民主党(当時)に投じた人の38.8%も今回は都民フに投票すると答えた。都民フが国政の二大政党の票を奪う構図が分かる。

都民ファーストの会が民主票を取り込んでいるのは確かですね。今回自民はさすがに完勝は無理かと。


小池系VS自民 幕開け 過半数へ攻防、シナリオ分析

http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS23H4M_T20C17A6EA2000/

小池支持勢力で過半数を奪取し、さらに都民フが第1党になれば議会の主導権は完全に小池氏が握ることになる。都政運営で強力な指導力を発揮できれば、有力なポスト安倍候補が見当たらない国政でも、小池氏の待望論が高まる可能性もある。自民党内には「都政での実績づくりは国政に進出する布石だ」との見方が絶えない。

小池支持勢力で過半数を得るが、第1党は自民党――。こんな選挙結果も想定できる。第1党を死守できれば「御の字」というのが自民党の本音だ。この場合、自民党は都議会で一定の存在感を保つことができる。小池氏が公明党に政策面で配慮を強めれば国政への影響は限定的だ。

小池支持勢力で過半数に達しなかった場合は、小池氏の都政運営が暗礁に乗り上げる可能性が高い。豊洲市場移転だけでなく、条例案や予算案を本会議で成立させるためには他会派の協力が不可欠となり、政策面で大幅な譲歩を迫られることになる。

都議選とその後の国政選挙は連動してきたという点からも、今回の都議選が重要であるとの理解を深めました。


首相、長期政権へ試練 内閣支持率急落 都議選が関門に

http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS19H65_Z10C17A6EA2000/

自民党は都議選の決起大会に首相が出席するなど総力戦の構えを示していた。ただ、支持率低下が伝わると、都議選の敗北が政権への打撃とならないようダメージコントロールする動きも目立つ。

永田町で都議選が重視されるのは、都議選での敗北が衆院選の大敗などに結びつくとの先例があるためだ。政権発足以来、すべての国政選挙で勝利を重ねてきた安倍政権内にも「次に勝てる保証はない」(党幹部)との懸念が漏れている。

シナリオ通りに進むかは不透明だ。自民党内からは「加計問題の処理は明らかに間違いだ」との声も漏れ、加計問題の対応にあたった菅官房長官への不満もくすぶる。首相は菅氏や麻生副総理・財務相を続投させ、政権安定を優先する構えだが、不満が増幅すれば、菅氏らの交代を迫る動きが顕在化するリスクもある。

感覚的には何だかんだ言って強いリーダーシップを求めている人が多いようにも思いますが。都議選で潮目変わるでしょうか。